医療従事者の方へ

<はじめに>

 「ゆりかご」は、NPO法人親子の未来を支える会が運営する、出生前診断後のインターネット上のピアカウンセリングシステムです。当NPOは、患者・患者家族・産婦人科医・小児科医・看護師・助産師・遺伝カウンセラーらにより2015年に設立されました。

千葉市に法人登記しておりますが、日本全国の患者を対象にしたシステム構築をしています。

<背景>

 本邦では,胎児異常を理由とした中絶は認められておらず、染色体異常や先天異常のマススクリーニングは容認される状況ではないと考えられます。産婦人科診療ガイドライン2014においても、妊婦検診時に行われる超音波検査のうち、「胎児超音波検査」については全妊婦を対象とした標準検査ではないとされています。

 一方で、実臨床の場においては、超音波検査にて染色体異常やその他先天奇形を疑い診断する症例は多々あります。逆に、明らかな異常を認めないにもかかわらず,母体年齢やNT肥厚のみで妊婦が過度に心配をされる妊婦さんもいます。

 病気や障がいを持つ子どもを育てること自体が「隠される」社会風潮である日本において、出生前の限られた期間に、病気や障がいに関する情報を入手するのは容易ではありません。「同じようなお子さんを育てている家族を紹介してほしい」そんな願いも、個人情報保護の観点などから応えるのが難しいと感じました。

 そこで「病気や障がいとともに生きる子どもの将来について、知りたい人と伝えたい人を繋げる場」を作ろうと考え、「ゆりかご」を立ち上げました。

<ゆりかごの目指すもの>

  1. 妊婦家族が、自律的に意志決定できるための環境を整える
    • 病気や障がいに関する情報を迅速に得られる仕組みづくり
    • 子育てしている家族、中絶を選択した家族、その双方に相談できる仕組みづくり
  2. 出生前からの家族サポートを行う
    • 胎児異常などの不安を抱える妊婦を、特定妊婦と認識し、妊娠中からの地域の支援に繋げる
  3. 日本の出生前診断に関する現状調査
    • 経済的理由の中に隠れている、胎児異常を理由とした中絶の現状を把握する仕組みづくり
  4. 患者家族サポート
    • ピアサポート内から得られた情報を元に、患者家族の必要とする支援を明らかにし、支援体制を整える
  5. 人工妊娠中絶への理解、支援

<ゆりかごをご紹介いただきたい方の例>

  • 羊水検査等でダウン症候群の確定診断に至ったが、いざとなって中絶するか悩んでいる方
  • 母体高齢やNT肥厚などを理由に、漠然とダウン症候群を心配している方
  • 出生後にダウン症候群を疑い、予後や生活について説明を求める方

ダウン症候群に限らず、口唇口蓋裂・13トリソミー・18トリソミー・無脳症・二分脊椎・心疾患など、様々な疾患に関して、相談窓口を設けています。稀少疾患に関しても、適宜ピアサポーターの確保に努めます。医療機関内で解決できない相談事のある方に、ご紹介いただければ幸いです。

  • ※当システムは無料です。開示すべき利益相反は一切ありません。
  • ※出生前診断を推進するものではありません。
  • ※中絶を推奨するものでも,出生を強要するものでもありません。
  • ※当システム内で得られた情報は、学会等で定期的に御報告いたします。